「100歳まで生きたくない」
「早く死にたい」
そう言って99歳のお誕生会を盛大にお祝いしたA様。
お誕生日の直後、転倒して骨折、入院。
もう寝たきりになってしまうかもと心配していたところ、2週間でリハビリもそこそこに退院。
慣れない環境での入院生活に、別人の様になって帰ってこられたのも束の間。
驚くべき回復力で、1ヶ月後にはまた元の生活に。
あれから1年。
「早く死にたい」と言っては数日間断食し、「やっぱりお腹がすいた」とひょっこり食堂に現れる。
「早く死にたいのに、どうして薬を飲まないかんと?」と服薬を拒否する事も度々。
その繰り返しで過ごしてきた1年。。
真夏の8日間、断食された時はさすがに焦りました。
何かA様が喜ぶことを!と考え、飲み会を計画。
ビールや日本酒、A様リクエストの天ぷらをお部屋に持ち込んでの女子会。
昔の懐かしい思い出話をたくさんしてくれましたね。
「あの頃の友達はみんな死んでしまって、私だけ生きていても楽しくない。。」
A様の気持ちにほんの少しだけ近づけた夜でした。
施設でアロマを使い始めた時、1番最初に使って欲しかったのがA様。
ラベンダーの香りが、元気を運んで来てくれないかなという期待。
「北海道を旅行した時に見た、大草原に広がるラベンダー畑を思い出したよ」とにっこり。
アロマの小瓶から落ちる1滴、2滴を「あ〜この香り、ラベンダー畑が目に浮かぶ」といつも楽しみにされている。
「99歳でお誕生会は盛大にしてもらったから、100歳のお誕生日はひっそりと迎えたい」と。。「ビールと日本酒と天ぷらでお祝いしてほしい」、とのリクエスト。
「じゃあ昼食の時に、みんなでケーキでお祝いして、ビールとかも用意しますね」と言うと、
「誰が昼間っからお酒やら飲むね。夜に私の部屋に数人だけで集まって飲むとよ。またいろんな話をしようよ」と。。
「はい、わかりました」
100歳の言葉には従うしかありません。
振り回されている様な、振り回されるのも楽しい様な。。
100歳まであと数日。
プレゼントに、みんなからの寄せ書きとアルバム、ラベンダーのオイルを準備。
あとは冷えたビールと日本酒と天ぷら。
「100歳おめでとうございます!」早く言いたくって、言いたくって仕方ない。
*有料老人ホーム銀の庵・小規模多機能ホーム銀の庵*
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カモメ (火曜日, 29 1月 2019 20:11)
私の母にもこのような介護を受けさせたい。