「認知症で自己決定できなくなったら」by 上野千鶴子さん

文藝春秋の6月号に掲載、上野千鶴子さんによる「認知症で自己決定ができなくなったら」。いろいろリアルでためになる発言が満載でした。

 

まず「当事者主権、自己決定」は「強い高齢者のための言葉だ」とお叱りをうけたというエピソードから本編ははじまります。

精神障害、認知症、知的障害などの理由で「自分の意思」が尊重されない方はまだまだ世の中にたくさんいらっしゃるということ。そういう方々が「在宅は無理」とケアマネに判断され、家族が誘導することがあるという事実。

それをもとに上野千鶴子さん自身が「認知症になってもひとりでも在宅で暮らしたい」という気持ちと、その根拠と解決策についていろいろ語られている。

その言葉は「いろんな方の気持ちを代弁してる」ようでとても痛快なものでした。

 

心に留めた言葉をいくつか紹介させていただきます。

 

* 1人暮らしの認知症の人はBPSDが少ない、家族に叱られるストレスがないから。

* 認知症で1人暮らしで生活習慣が維持できなくても訪問介護に入って貰えば食事も入浴もできる、配食サービスだってある、食べられるあいだは食べていただいて、機嫌よく下り坂を降りていってもらいたい、実際そうやって、独居の認知症の高齢者を、在宅のまま見送ったという事例も耳にするようになってきた。

* 在宅の限界ってなんだろう?  すっぽんぽんの全裸でいたからと言われても、暑くてすっぽんぽんの人もいるだろう。誰が迷惑するわけじゃないから、わたしはそれでいい。

* 成年後見は、「成年後見、身上監護、死後事務委任の三点セット」でお願いしたい。実際そういう事業者が登場してきた。

 

などなど、自分の気持ちに基づいて書かれていることひとつひとつがとても腑に落ちました。

「どうしても入院はいや!」「家から動かない」という高齢者の方もいて、それもまた人生。とはいえ、まだまだ「家族の負担」のことや「本当に在宅で大丈夫なのか」とか考えてしまい、なかなか答えがでないことも多いです。ごめんなさい。

 

この記事のむすびはこんな言葉でした。

「介護保険のおかげで、認知症になってもそうやって暮らしを支えてもらえる社会になったことを、わたしたちは喜べばよいのです」

ですよね!

 

とても引用が多くなってしまいましたが、現在発売中文藝春秋6月号です。

興味を持たれた方は手にとってみてくださいね。

 

御井町ケアプラン 古賀ゆき

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コメント: 2
  • #1

    おのさちよ (日曜日, 19 5月 2019 09:22)

    上野さんの話は面白いですよね。何度か講演を聞きました。
    この本、私も読んでみます。
    興味津々です。古賀さん、ありがとうございます!
    東京大学の今年の入学式での上野さんの言葉が話題になっていましたよね。
    関心のある方は、全文がネットで見れますので読んでみるのもいいかも・・です。

  • #2

    こがゆき (水曜日, 22 5月 2019 18:45)

    コメントありがとうございます。講演も聞かれてたんですね、羨ましいです。
    上野千鶴子さん自身が「おひとりさま」としての老後をほんとによく調べてらして空気感もリアルだと思いました。
    独身の友人も多く、老後のことをなんとなくおしゃべりすることも多くなってきました。
    まずは自分や友人から、こんなふうにズケズケと老後の希望を語る練習をはじめてみたいと思っているところです。遠慮して何も言わないままに終わってしまわないように。