認知症の人と認知症の人の家族が幸せに生きるにはなにが足りないんだろうか?とたびたび考えるけれど答えは出なくて、そもそもそれは私だけの答えじゃなくて「社会が持っていて当然な答え」であれば最強なんじゃないかと思っているわけです。
長谷川和夫先生といえば「長谷川式スケール」で有名な先生。その先生が認知症となった自分についての本を書かれています。これは文章の軽やかさや長谷川先生の人となりの滲み出てる感じが何よりもいい感じ。私もだんだん記憶力があやしくなってきて、自分自身も「わたしも将来は」と思うこともままありますが、読んでみれば「こわくないよ」と思ったのが直球の感想でした。
自分自身の時間が続いているという先生の言葉も好きだったけれど、記録しておきたいのは、認知症の自分自身の気持ちを発信し続けたクリスティーンブライデンさんの言葉です。
>ブライデンさんは、やがて感情さえ壊れ、自分はどこへ行くのだろうと不安でいっぱいだったのです。ところが2冊目を描くころにこの心配は消え、自分らしさだけの脳になって「私はもっとも私らしい私に戻るたびに出るのだ」と思い直した。「だから私を支えてください」といっているのです。私は、心のいちばん深くにある、もっともその人らしい、その人の存在そのものを支えることがスピリチュアル・ケアなのだと思いました。認知症と介護の分野に携わらなかったら、私はこの存在の重要差に気づかなかったと思います。(本書より引用)
あとあといろんないい言葉がいっぱいで、「べき」ではない「やわらかい世界」が自分の地続きにあるような気持ちになれました。
御井町ケアプランサービス 古賀由紀
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