デイサービス管理者のとある判断

ある日、当法人のデイサービスの管理者から私に相談がありました。

月曜~土曜まで、週6日のデイサービスをご利用して頂いている方が体調を崩されたという相談でした。

 

「〇〇様なんですけど…。先週体調不良で金曜日と土曜日、うちのデイサービスを休まれたんです。金曜から日曜にかけての三日間、ご家族はいらっしゃったのですが、食欲が無くてあまり食事が摂れなかったらしく、元気が無いんです。今週も同じパターンで、通院と点滴のため金曜日と土曜日のデイサービスは休まれるので、また金曜から日曜にかけての三日間はご飯を召し上がらないかもしれません。それで、こんなことしたらいけないのかもしれませんが、ご飯だけ提供しに行ったらいけないですか?デイサービスの利用にはならないので、うちの収益はゼロなんですが…。ご飯食べてもらって水分も補給しておかないと、あの方体調崩されるんですよ。今後の事を考えたら、ちょっと今してあげといたほうが良いかなって思って…」

 

これこそ、まさに地域福祉の精神だと思いました。私は即座に、「こちらからお願いします。ありがとう!」と答えました。

 

福祉は、収益だけ考えていたらいけないと思います。そこには、利益にはつながらなくとも暖かい心・地域福祉の精神がないといけない。事業所とご利用者様との間には、以心伝心にも似た思いやりのこころが介在しないと、地域福祉はあり得ないと思うのです。

もちろん事業所を継続していくに当たっては、正当な報酬は必要だと思います。事業所を守り、そこに勤めるスタッフを守るためにも収益を上げることは重要だと考えます。しかし、福祉の現場は、決して経済だけで動いて良いものではありません。そこには、人としての心が無いといけないと思うのです。そして、今回の管理者の取った行動は、まさしくそれに当たると思うのです。

 

私たち介護職は、ともすればご利用者様の人生を決定付ける選択を迫られる場合があります。言い換えれば、私たちの選択一つで、ご利用者様の幸不幸を決めてしまう事だってあるのです。だから私たちは決して慢心することなく、手を抜くことなく、出来うる全ての事をしなければならないのです。あらゆるアプローチの方法を考え、「これがダメならこっち…こっちもダメならあれがある…」と手を尽くすのが、人を相手にさせていただくプロというものです。そして、決して諦めない。私たちが諦めたら、ご利用者様にその先はありません。決して諦めずにチャレンジし続けて行く熱い心こそ、今介護職に求められるものだと信じています。

 

当法人のデイサービスの管理者さん、ありがとうね。あなたが提案してきたことを実行すれば、あなたはその分仕事量が増えて大変になるのは良く分かっていて…でも、あなたはそうせずにはいられなかったのよね?

私も歳を重ねてデイサービスに行くようになった時には、あなたのような方がいるデイサービスを選びたいと思います。

本当にありがとう。ご家族に替わり、法人代表である私からお礼を言います。今の、その優しい心をいつまでも忘れないでいてくださいね。そして、これからも地域福祉を支えるため、共に頑張っていきましょう。

 

                       ㈲モク・コーポレーション

          代表取締役 川津敦子